7−3−1 岩井地区(西部地区、平成11年度現地調査実施)

岩井地区内では、リニアメントは山裾と低地部の境界に直線状に追跡される。ただし、リニアメントの延長上の平地部(第四紀層分布域)には、変位地形は認められない。調査は、高崎地区・岩婦地区の2カ所にて、ボーリング調査及びS波反射法地震探査、高密度電気探査を実施した。その結果、高崎地区では、山地部の北側(前面部)で、基盤岩に幅約50mの弾性波低速度帯が検出され、基盤岩の上面には低速度層が認められた。また、S波浅層反射法地震探査では、表層付近の堆積物は、水平に堆積している様子が認められる一方、基盤中に明らかな低速度帯が確認された。さらに、高密度電気探査をほぼ同じ測線位置にて実施し、その結果、低速度帯の認められたほぼ同じ位置で、電気低比抵抗帯を検出した。また、14Cによる年代測定の結果から高崎地区の推定される表層部の未固結層の堆積時代は、約2000年であることが分かった。

東側の岩婦地区では、基盤岩を覆う表層の堆積物は、それぞれのボーリングコアの未固結層の堆積構造は乱れておらず、地表部分にも変位地形は認められない。なお、リニアメントは東側へ鞍部及び山地と低地の間を通って連続する。

一方、西側への連続は、水路部技報(1997,Vol15)によると、鴨川地溝帯の東京湾側の延長部では、顕著な活構造やリニアメントは認められないとしている。

以上より、岩井地区で認められるリニアメントは、地質断層や古い時代の地質構造、地質状況を反映した組織地形の反映で、変位地形ではない可能性が高い。従って、岩井地区には活断層が存在する可能性は低い。