7−2−1 鋸南地区(西部地区)

鋸南地区では、リニアメントは山裾と平地部の間に認められる。これよりも西側の保田地区では地すべりが発達し、リニアメントは不明瞭となる。段丘面は河川に沿って分布するが、河川の流れに調和的な方向に発達しており、段丘面上に、変位地形と判断される地形は認められない。全体的には、リニアメントが段丘面を横断する箇所はほとんどなく、わずかなリニアメント延長にあたる段丘面部分にも、変位地形は認められなかった。

平成12年度調査では、リニアメントの延長上にあり、保田川沿いに認められる比較的高位で、広く分布する段丘面(宍倉1999、保田T面に対比)の年代を測定し、約1900年前を得た。一方宍倉(1999)によると、保田地区の段丘面は保田T〜Wに区分され、保田T面の離水年代を6000〜3950年前とし、6000年前以降にリニアメント延長部にあたる段丘面が形成され、その後には断層は活動していないとしている。したがって、今回の調査も合わせて、活断層が存在する証拠は得られなかった。