(1)速度分布

図6−1−1−2の屈折トモグラフィー解析により求めた速度断面図から、本測線の表層の速度分布は次のとおりである。

測点番号140付近を境に大きく2分される。

測点140付近より南側の標高5〜10m付近では、地形が北上がりなのに反して水平である。地表から10m以浅と以深で速度の変化率が異なる。地表から10m以浅では,概ね1200m/sec以下となっており,地表から10m以深では,深度が10m増すのに,速度は2000m/secを越えている。

深部地表から20m以深では,測点番号1〜30と120〜140付近で相対的な低速度帯(10%程度−)が認められる。

測点140以北では急激にコンター間隔が詰まり,測点155付近の地表付近で1700m/secに達している。さらに北方では,測点160〜170の地表付近に低速度帯が現れ(貯水池の影響か),断面端に達する。

重合速度から得た区間速度については,基盤以下で,およそ2000m/secとなっており,トモグラフィ結果とほぼ整合的である。ただし,南端部ではトモグラフィ結果と比較して,基盤内の区間速度はやや小さくなっている。

基盤内の速度は2000m/sec〜3500m/secの値となっているが,反射イベントがかなり傾斜しているので,やや大きめの値となっている可能性がある。中でも,比較的水平(三次元的には水平かどうか疑問)な反射イベントに対する値は測点番号90付近の「2904」(m/sec)である。