(5)NMO補正およびCDP重合

CDPアンサンブル(各CDP(発震点−受振点の中点)ごとに対応するトレースを集めたもの)に対して発震点・受振点間距離の違いによる反射波の到達時間(走時)の遅れを補正し、発震点と受振点が同一位置にある場合(ゼロオフセット)の走時に合わせる操作が NMO補正である。NMO補正を行うにはあらかじめ地下の速度分布を設定する必要があり、通常は速度解析により得られた速度分布を用いる。このNMO補正後のCDPアンサンブルを足し合わせて、反射波を強調する操作が水平重合(CDP重合)である。図5−1−3は、6重合の場合のNMO補正と、CDP重合(水平重合)処理の概念図である。共通反射点Pでは、A−P−a,B−P−b,C−P−c,D−P−d,E−P−e およびF−P−f の各々異なった経路をもつ反射記録(T) が得られる。P点からの反射波の走時は、水平距離Xの増加とともに遅くなっている。次に速度解析で得られた速度を用いてp−P−p 経路の仮想の記録に合わせる(NMO補正)と、P点からの反射波はいずれの経路のものもほぼ同じ走時の記録(U) が得られる。さらにこれらを足し合わせる(水平重合)と、ランダムなノイズや反射波以外の波は打ち消しあって相対的に弱くなり、逆にP点からの反射波は加算され、強調された記録(V) が得られる。