2−3 地質概要

鴨川低地断層帯とされている部分の地質構成は、大きく分けて、中央の低地を構成する部分に東西に嶺岡層群及び保田層群が分布する。それらを取り囲むように北側と南側には、三浦層群及び上総層群が分布する。嶺岡層群は、西北西−東南東の一般走向を持つ。鴨川地域では、嶺岡山地と称され、山地のかなり広い部分にわたって蛇紋岩が分布する。これらは主として礫状に粉砕された産状を示し、他の火成岩類を岩塊として含む。これらブロックの大型のものは、地形的なピークをなしていることが多い。

保田層群は、主として嶺岡帯西部及び嶺岡帯南方に広く分布する。同層群は、主として砂岩・泥岩・凝灰岩等から構成され、火成岩の貫入が見られ、非常に複雑な地質構造を示す。そのため、各所に分布する地層の層序関係を把握するのは、非常に困難である。また、下位の嶺岡層群の産状及び保田層群の分布状況を考慮すると、断層によって保田層群中に嶺岡層群がもみ上げられていると推測される。そのため、保田層群自体は断層運動による剪断変形によって、かなり破砕を受けており、部分的に破砕から逃れた部分が、比較的まとまった岩体として残存していると考えられる。

三浦層群は、下位の保田層群を不整合に覆うとされている。鴨川地溝帯の北側に広く分布するほか、鴨川地溝帯南断層のリニアメント南側にも分布する。岩相は泥岩を主体とし、多数の凝灰岩層を挟在する。全体に、下位の保田層群に比べ、変質及び破砕等を受けていない。

本文では、鴨川地溝帯南断層付近に基盤を形成している保田層群及び三浦層群について、平成12年度調査地付近における、その岩相を記載する(地質図幅「鴨川」、同「那古」,鈴木ほか1990,中島ほか1981,千葉県1998)。