このうち、鴨川低地断層帯北断層に沿った地域では、主として木ノ根層、神川層が分布する。
木ノ根層は、鴨川市大幡北方から西方へ、古畑、富津市木ノ根峠、鋸南町大帷子に掛けて、東西に分布する。岩相は、暗灰色泥岩を主体とし、しばしば厚さ5−40cm程度の細粒砂岩を挟む。また、最下部付近の泥岩中には厚さ50cm〜1m程度の石灰質団塊が層状に挟まれることがある。泥岩のうち特に下部は細粒で、風化すると黄灰色を呈し細裂状に割れ、粘土化して地すべりの原因となっている。また、本層はその岩相から、鴨川地溝帯南断層沿いに認められる南無谷層に対比される。
神川層は、北断層沿いでは、木ノ根層の南側に東西に広く分布する。岩相は中・下部が灰色・塊状・泥質極細粒−細粒砂岩を主体とする岩相で、上部は頁岩を主とする岩相からなる。
一方、鴨川低地断層帯南断層に沿った地域では、地質は大きく二つに分類される。西側部分には、三浦層群の泥岩及び砂岩層が主として分布し、保田層群の変質を受けた泥岩及び砂岩層が分布する。南断層沿いの東部地区では、保田層群及び嶺岡層群が分布する。岩相は主として砂岩、泥岩から構成され、蛇紋岩、玄武岩等が分布する。
岩井地区では、リニアメントよりも南側の山地部分で、砂岩及び泥岩層が認められる。いずれも破砕された様子は、認められない。また、岩婦地区で実施したボーリング調査結果からは、リニアメントよりもやや北側部分まで、三浦層群の木ノ根層相当の泥岩層が分布することが確認されている。よって三浦層群と保田層群の境界は、リニアメント位置よりもやや北側に位置すると考えられる。
平久里下地区では、リニアメント南側に泥岩及び砂岩層が分布する。リニアメントを挟んで北側に分布する保田層群の岩相と対比すると、破砕等を受けておらず、塊状である。