(3)平久里下段丘U面対比

リニアメントを挟んでそれぞれ南北で行ったボーリングは、調査地に広く分布するU面(沼T面相当)上で、北側で2孔、南側で1孔実施した。

その結果、北側(右岸)で実施したボーリングでは、No.Aが標高39.8m(深度9.7m)、No.Cが標高40.0m(深度9.4m)とほぼ同じ標高で泥岩上面が位置する。その岩相は、脆弱で不均質な泥岩で、保田層群に相当する。トレンチ壁面で認められた三浦層群の泥岩の均質で比較的硬質な岩相とは、大きく異なる。No.Aボーリングの段丘面の離水深度は、その岩相から、約2.3m、No.Cの離水深度も同様に約2.3m程度であると推定された。

また、南側(左岸)で行ったボーリングでは、標高43.1m(深度9.4m以深)に、三浦層群相当の均質な砂岩層が認められた。リニアメントを挟んで、岩盤部分の上面深度の標高差は、約3.1m程度南側の段丘面のほうが高い。また、段丘面最上部には段丘形成後の堆積したと考えられる厚さ3.3mの崩積土が分布していることが分かった。このうち、深度3.2mよりも上位の部分については、その岩相から、人工改変等を受けている可能性がある。円礫が3.2m以深に認められることより、離水深度を3.2mとした場合には、南側段丘面がリニアメントを挟んで北側のボーリング結果と対比して、約2.2m高い。

また、段丘面の地表の標高差は、リニアメントを挟んで約3.0m南側が高い。

しかし、ボーリングA、CとボーリングBで得られたコアの内、段丘堆積物と考えられる部分の岩相は、リニアメントを挟んで大きく異なっている。そのため、直接対比出来ないと考えられる。

右岸で行ったボーリングのうち、破砕された泥岩部分について、薄片を作成し、偏光顕微鏡による観察を行った。偏光顕微鏡による観察では、破砕を強く受けたような、引き延ばされた構造を示し、横方向につよく応力を受けた様子が認められる。また、蛇紋岩及び変質鉱物等も多く認められ、鏡下においても強く変質を受けていることが明らかである。