リニアメントから(低地側)に約10m地点で実施したボーリングでは、表層堆積物は、未固結の粘土層を主体とし、含水比が高く、一部腐植物に富む。しかし、粘土層に乱れた様子は認められない。表層堆積物の直下、深度4.5m〜8.4mにかけては、下位の泥岩起源の移動岩塊で構成される。この部分は風化が著しい。8.4m以深は、泥岩(三浦層群相当)が認められた。この泥岩層は下位側にいくに従って亀裂の数が減少する。
また、山地部より約40m低地側で掘削したボーリングでは、深度2.1mまで未固結の粘土層が覆うが、乱れていない。また、深度2.1m以深では、強く変質・破砕した泥岩(全体に粘土化する)・玄武岩ブロックが認められる。この泥岩層は、ほ場整備で認められた保田層群の泥岩層と同様の岩相である。それらを
一方、リニアメントが通過すると考えられる地点を挟み、南側山地部で行ったボーリングでは、深度1.3mまではやや腐植を含む粘土層が堆積する。粘土層の堆積構造には乱れは認められない。深度1.3m以深に、均質な岩相の細粒砂岩が認められる。この岩相は三浦層群の岩相に対比される。したがって、リニアメント通過推定位置を挟んで着岩深度の落差は、0.8〜8.4mとなる。8.4mという深度は、やや深いと考えられるが、4.5m〜8.4mまでの部分は、下位の泥岩とほぼ同じ岩相を呈し、調査箇所が山際であるということも考慮すると、4.5mよりも浅い部分とは、形成過程が異なると考えられる。
また、岩婦湖の調査地点西側に位置する館山道建設に伴う既往報告書(建設省)によると、山地部に位置するトンネル孔口付近では、比較的硬質な泥岩(三浦層群と推定)を確認しているのに対し、山地部の北側100mのボーリングでは、12.5m以深で認められる泥岩について、「角礫状の泥岩礫を含む」としている。この記載は、保田層群の岩相を示していると考えられる。
以上より、高崎地区のほ場整備で認められた露頭とは異なり、岩婦地区のリニアメント沿いでは、保田層群だけではなく、比較的均質な岩相の泥岩部分も(三浦層群)破砕されていると考えられる。