その結果、浅部よりA〜Cの3つの反射面(イベント)が特徴的に認められた。Aは、極浅部のほぼ水平で比較的連続するイベントとして追跡したもので、地表下2〜4mの深度にある。本イベント以浅は未固結の堆積物に対比されると考えられる。また、A層は、水平にほぼ連続して追跡されるために、大きな変位を受けていないことは明らかである。Bは、測点60〜110m間で傾斜するイベントうちの上位のものとして追跡したが、明瞭ではない。比較的強振幅のイベントとして追跡したイベントCは、全体として測点40〜110m間が落ち込んだ構造を呈している。本イベントは600m/sの高速度コンターに概ね一致することから、本イベントは基盤の上面に対応していると考えられる。なお、イベントCが基盤の上面を示すとすれば、ほ場整備で認められた保田層群の泥岩層の深度よりも、かなり深い。
一方、平成10年度調査では、11年度調査地点から東側約100mで行われていたほ場整備に伴い、玄武岩を伴う保田層群の破砕された泥岩層が露岩した。この岩盤は、ほ場整備に伴う排水路の壁面に浅く、ほぼ連続して分布する(深度1m以下)。しかし、岩井神社南方約40mの地点より南側(山地側)では急にその上面は深くなり(深度2m以深)、基盤を確認することは出来なかった。基盤の認められなくなる部分から山地部までの幅は、約80mである。また、基盤上面深度の深い部分の延長方向は、山地部と平地部の境界の方向にほぼ一致する。また、S波浅層反射法地震探査で認められた、弾性波低速度帯と、高密度電気探査で認められた低比抵抗帯の延長部は、基盤上面が深い部分に連続する可能性が高い。一連の保田層群の堆積物は、ピートによって被覆される。ピートは、広く分布するが、基盤の認められない凹地部分で、1.5m以上と、特に厚く堆積する。この年代は、14C年代で2040BPと推定された。
また、低地部の北側(JR側で基盤と判断した)弾性波速度層が一定でない理由として、保田層群の不均質な泥岩層を反映していると推定される。
高密度電気探査の結果では、S波浅層反射法地震探査によって認められた低速度帯とほぼ同様な部分で、低比抵抗帯が認められた。以上の結果より、この部分には、基盤の破砕帯が分布するものと推定される。