今回、岩婦地区で実施したボーリング結果は、それぞれの岩相から、山地部側(南側)で実施したボーリングは三浦層群、低地部(北側)で実施したボーリングは保田層群に対比される可能性が高いことが分かった。しかし、リニアメントから約10m程度、低地側で実施したボーリングでは、岩相としては三浦層群に対比されそうであるが、調査位置としては、低地部分であり、保田層群の可能性も考えられた。そのため、保田層群、三浦層群とリニアメント通過位置の関係を明らかにするために、微化石による年代測定を実施した。なお、調査を行う微化石の種類としては、少量のサンプルで実施可能で、比較的鑑定も速く、精度が高いとされている石灰質ナンノ化石を用いた。
Bi−1 サンプリング深度;13.0m
産出した主要石灰質ナンノ化石は,Cyclicargolithus floridanus, Sphenolithus heteromorphus, Helicosphaera euphratis, Helicosphaera intermedia, Discoaster deflandreiなどで,これらからMartini(1971)のNN4〜NN5帯,Okada and Bukry (1980)のCN3〜CN4帯,すなわち,前期中新世末から中期中新世初めに対比される.これは木の根層下部もしくはそれより下位に対比される.ただし,Helicosphaera属が少なく,Helicosphaera ampliapertaの産出を確認できなかったため,この試料がNN4,NN5いずれに相当するかは不明である.しかし,Discoaster deflandreiが多産することからすると,前期中新世末のNN4 (またはCN3)帯に相当する可能性が強い.その場合,年代値は18.2Maから15.6Maの間に相当する.これは木の根層最下部,またはそれより古いことを示唆する.
また、H. euphratis, H. intermediaが多いことも,NN4の可能性を示唆している可能性がある。
以上の結果から、Bi−1のボーリング結果で認められた亀裂の多い泥岩は、三浦層群に相当すると考えられる。