粗粒砂岩;ほぼ新鮮な粗粒砂岩。ハンマーの打撃で砕ける程度の堅さで、全体に塊状、節理はほとんど分布しない。青灰色を呈し、構造はほとんど認められない。
泥岩;割れ目が多く認められる泥岩で、全体にやや風化し、灰褐色を呈す。砂岩層との境界は、泥岩部分に亀裂は発達しているものの、比較的整合的であって、軟弱な粘土等は認められず、密着している
一方、リニアメント北側部分切土の露頭では、破砕を受けた泥岩及び砂岩起源と考えられる破砕粘土層が分布する。これは右岸で実施したボーリングで認められた破砕された泥岩層に比較され、保田層群相当であると考えた。
破砕泥岩層;全体に破砕を受けた泥岩層。N53E80Nと、高角で全体に引き延ばされたような構造を示す。全体には、暗灰〜暗黒灰色を呈す。所々に砂岩層が残っており、灰色を呈す。また、粘土化した部分の内、一部には蛇紋岩等も取り込まれている。偏光顕微鏡による鑑定では、蛇紋岩起源と考えられる変質鉱物や、玄武岩片等が認められ、また、かなり水平方向に横ずれ変形を受けている様子が認められる。道路工事に伴う掘削で認められたスリッケンサイドの方向はN60E72Nとなり、引き延ばされた構造の方向とにた傾向を示す。
リニアメントは、南側の三浦層群の露頭部分と、北側の保田層群の露頭部分の間を通過すると考えられる。リニアメント通過付近では、地形は凹地状を呈し、崖錐堆積物が堆積している。
その凹地部分を横断するように、付け替え県道工事に伴って、路盤部分に埋設される上水道の工事が行われた。掘削深度は1.5m程度で、南北方向に掘削が行われ、南側の露頭及び北側の露頭と、凹地部分の崖錐堆積物の関係がある程度明らかになった。その結果、南側の露頭部分で認められた三浦層群の泥岩は、北側低地部分に向かって、急に深度が深くなり、泥岩及び砂岩の境界部から約10m程度で、崖錐性の堆積物によって被覆され、認められなくなる。凹地は、新しい崖錐性の堆積物によって覆われている。崖錐堆積物の認められる部分よりも北側では、破砕された粘土層起源の粘土が堆積している。破砕層起源の粘土層と、破砕された泥岩との境界は不明確であり、はっきりしないが、泥岩及び砂岩層の境界より北側に約45mの地点では、明らかに破砕され、変質した泥岩層へと変化する。
いずれの基盤及びそれらを覆う崖錐堆積物には、基盤部分に古い破砕を受けた様子は認められるものの、新しい変位等については、認められなかった。