(1)右岸トレンチ

右岸トレンチは、平成10年度の調査結果を踏まえて、V面をリニアメントが横断すると考えられている部分で実施した。

トレンチの規模は、南北約10m、東西約7m、深さ1.5〜2.0m程度となった。

トレンチで見られた壁面は、その特徴から5つに分類された。その大まかな特徴を以下に下位より示す。

A シルト岩。 基盤岩で、既往資料では、保田層群に対比されている。N80W方向の割れ目が多く認められる。暗青灰〜暗灰色を呈す。

B 比較的淘汰の悪いルーズな砂礫層。 一部塊状の粘土層を挟み、ブロック状に分布する。礫は亜円〜亜角、シルト岩主体でφ=5〜20o程度である。また、植根が認められる。

C 礫混じり砂質粘土層  礫はシルト岩の強風化したものが多く、亜角礫を主体とする。淡褐色〜淡灰褐色を呈す。また、植根及び炭質物が含有する。下位のB層とは整合的関係である。

D 盛土 礫は泥岩及びシルト岩を主体とし、角礫である。B層北側を削って盛られている。

E 表土 耕作土の厚さは20cm程度である。

堆積層序は以下のとおりである。

A層(基盤岩)の浸食、B層がこれを覆って堆積、C層が連続的に上位に堆積、人工的にC層を削る。人工地層D層の盛土。その後E層の耕作土が形成。

トレンチ壁面の観察の結果、基盤を構成する泥岩には、割れ目沿いに白色に変質した(熱水の影響?を受ける)部分や、亀裂が多く認められたものの、運動に伴うような専断された構造は、認められなかった。また、当初、断層によって変位を受けているのではないかと考えられた地形は、過去の埋土との境界に相当しており、その部分に変位を受けたような様子は認められなかった。以上より、トレンチ掘削箇所には、断層は通過していないと考えられる。

図6−3−2−1−1 右岸トレンチ南面観察図

図6−3−2−1−2 右岸トレンチ東面観察図

図6−3−2−1−3 右岸トレンチ西面観察図

図6−3−2−1−4 右岸トレンチ北面観察図