5−2−1 (A)高密度電気探査の概要

電気探査は地下媒質の電気的特性を計測することによって地下構造あるいは物性値を推定する手法で、古くから地下水の調査などに用いられてきた。近年では、電子技術の進歩により迅速に大量のデータの収録ができ、さらにこれらのデータを用いて、高度な逆解析が行えるようになり、地盤内の土質構造を2次元的に把握することが可能となっている。このような、大量のデータを用いて、逆解析を伴う電気探査は「高密度電気探査」と呼ぶ。

高密度電気探査を実施するには地下に電流を流す電極と地表の電位分布を検出する電位電極を地表に設置する。電流電極及び電位電極の位置関係を電極配置と言う。本業務においては、4極法のダイポール・ダイポール法を用いた。

図5−2−1に示すように、ダイポール・ダイポール法は一対の電極を用いて地下に電流を流し、ある距離を離れた一対の電位電極間の電位差を測定する。一般的に、電極間の距離を同じように設定し、この距離をaとすると、電流電極対と電位電極対間の距離をaの整数倍 na(n=1,2,3,...)に設定する。探査深度は電極系の長さS=(n+2)aに比例する。図1に示すように、aとnを固定して、電極系を測線に沿って移動して測定すると、測線沿いのある深度の地下情報を得ることが出来る。さらに、aとnを変化させることにより、異なる深度の情報を得ることが出来る。ダイポール・ダイポール高密度電気探査はaとnのあらゆる組み合せに対して測定し、この莫大なデータを用いて、インバージョンにより地盤の2次元構造を把握する。

高密度電気探査の堤防土質調査への適用原理の概念を図1−2に示す。

図5−2−1 高密度ダイポール・ダイポール電気探査の概念図