その結果、段丘面は沼T面〜沼W面および、それよりも古い面の5面に区分される。河川勾配は、河口より奥谷付近までは緩やかであるが、それよりも北側では、急勾配となる。段丘の分布は、沼W面については、海岸部にのみ認められる。また、沼V面は海岸部〜曲松付近まで分布する。沼U面は、畑地区近傍のリニアメント南側まで、連続して認められる。沼T面は、海岸部より畑地区近傍のリニアメントを挟んだすぐ南側まで、連続して認められる。沼T面よりも古い段丘面は、市井原よりも北側に点在する。この段丘面もリニアメントを挟んで北側には認められない。いずれの段丘面もリニアメントを挟んで北側には発達しない。
以上の段丘面の分布状況より、リニアメントを挟んで南側は、相対的に隆起していることが推定される。ただし、段丘面の高度分布状況を調査すると、相対的隆起を示すリニアメント南側の段丘面は、現河床勾配から考えて、リニアメント北側には、分布している可能性はほとんどないと推定される(深く埋没している可能性はある)。そのため、高鶴(畑)地区において今後、活断層調査を行うことは、かなり難しいと考えられる。
また、断層角盆地に堆積する地質は、地すべり土塊であり、新しく、時間指標面を伴う整然とした堆積層は観察できないと考えられる。しかし、段丘堆積物が地すべり堆積物の下位に分布している可能性もあるため、その年代を得られると、リニアメントの南北に分布する段丘面の対比を行うことができる可能性がある。
図3−1−6 高鶴(畑)地区精査結果