2−1−2 準精査地区の抽出

鴨川低地は地溝状の低地でありながら新期の被覆物が薄く、北・南両側の上総層群より古い堆積物である安房層群及び嶺岡層群から構成されるという特異な構造を示している。低地帯の南北縁に分布する断層は、主として空中写真,地形図判読,磁気探査などにより、リニアメントとして図上である程度の精度で推定されているが、活断層としての判定精度には北・南両断層にかなりの差がある。

鴨川低地帯北断層に沿っては古い段丘露頭が少なく、現地で第四紀層の変位を示す直接的な露頭証拠は得られていないのが現状である。このため、リニアメントも大半がいわゆる差別侵食によって生じた組織地形と考えられている。したがって、北断層に関しては、活断層としての評価が南断層ほど明確でなく、リニアメントの見直しとこれに沿った現地概査・精査を行って、活断層としての評価を検討した。

まず、空中写真判読によって、リニアメントの詳細な通過地点を定めるとともに、断層によって、変位を受けていると考えられる地形の抽出を行った。さらに、次年度以降の調査によって活動履歴の推定できる可能性のある地点について、以下のように精査候補地点を抽出した。

(1) 仲根地区

(2) 打墨地区

(3) 上畑地区

(4) 鋸南町地区

鴨川低地帯南断層は変位地形および右横ずれのセンスが確認されており、かつ活動性に関するデータもあるため、活断層であるとの認識からリニアメントを空中写真,地形図で確認した後、現地精査により適切なトレンチ掘削候補地点を探すことを調査の目的とした。

まず、空中写真判読によって、リニアメントの詳細な通過地点を定めるとともに、断層によって、変位を受けていると考えられる地点の抽出を行った。さらに、次年度以降の調査によって活動履歴を推定できる可能性のある地点について、以下のように精査候補地点を抽出した。

(1) 岩井地区

(2) 平久里地区

(3) 谷(断層露頭)地区

(4) 古畑地区

(5) 橋本地区

(6) 高鶴地区

(7) 竹ノ中地区

(8) 石原地区