(1) 2つの測線の反射断面図からは、基盤岩(先新第三紀層)から新第三紀、第四紀の堆積層にいたる段差構造など(活断層)は確認できなかった。
(2) 両測線ともに基盤岩からの反射波については、若干の不連続・振幅の変化・反射面の傾斜の変化等が認められる。但し、これらの変化は、少なくとも深度約400mの下総層群中の水平な強い反射面(東京湾不整合)より上位の堆積層には影響を与えていない。
(3) 基盤岩からの反射波の振幅や周波数が、両測線ともに測線の中央付近を境に変化する。南側では振幅がやや弱く周波数が高く、北側では振幅がやや強く周波数が低い。この傾向は、千葉97−2測線で顕著である。また、両者の境界部分に反射波の若干の不連続が認められる。この変化は、関東平野の基盤岩の岩質の相違(三波川系と秩父系)を表している可能性がある。
(4) 両測線ともに測線の北側3分の1の部分は基盤反射波がやや弱くなっているが、この部分の不均一な発震点の配置、地表地質の影響などにより、S/N比が若干悪くなっているものと考えられる。
(5) 都市部の高ノイズ環境下の調査ではあったが、今回の調査により、地表から深度2500mを超える基盤岩までの地質構造形態が明らかとなり、併せて地震波の速度構造を得ることが出来た。これらは今後、強震動予測などを行っていく上での重要なデータとなる。