(3)周辺地形(段丘面の分布)
青森湾西断層の東側と入内断層の西側には、形成年代が同じと考えられる段丘面が少なくとも2面(高位段丘面(T2面)、中位段丘面(T3面))確認される。高位段丘面(T2面)は入内断層周辺で八甲田U期火砕流堆積物の影響を受けること、分布勾配などから海成面とできる根拠が少ないことから厳密な対比は難しい。それに対して中位段丘面(T3面)は、広く分布し分布形態が類似していること、海水準以外の影響が少ないと考えられることから対比可能である。中位段丘面(T3面)は青森湾西断層の東側で標高約10〜20mに分布し、入内断層の西側では北に向かい標高が低くなる傾向があるが、分布及び勾配が最も類似する三内付近で標高約10〜20mに分布する。このため、青森湾西断層の東側の低地は、入内断層の西側(上昇側)とほぼ同標高であり、入内断層の東側の青森平野と比較して相対的に高いことになる。この要因として、入内断層が上昇より沈降が大きい断層であること、青森湾西断層の東側の平野側が上昇していることが推定される。青森湾西断層の東側の平野側が上昇する要因は活構造であるか、広域の上昇であるかは不明であるが、浅層反射法弾性波探査で確認された海岸線付近の撓曲が関係することが推定される。