(6)単位変位量(鉛直方向)

青森市沖館のボーリング調査の十和田八戸火砕流堆積物の標高差約5mを2回の活動の変位量とすると単位変位量(鉛直方向)は2.5mと算出され、3回の変位量とすると単位変位量(鉛直方向)は約1.7mと算出される。

他の地域(小館・細越)については推定された平均変位速度(鉛直方向)と活動間隔から推定した。表2−3−9に各地域別で、活動間隔4,500〜5,000年及び7,000〜10,000年の時の単位変位量を示す。沖館周辺は前述した値を示す。

この表においても地域ごとに単位変位量(鉛直方向)が異なる。これは平均変位速度(鉛直方向)が違うためであり、原因についても同様のことが考えられる。

青森市沖館の活動履歴の推定の際に前述したが、東北地方における内陸主要活断層の事例研究(粟田,1998)では単位変位量(鉛直方向)の最大は千谷断層の約3.5mである。また、昨年度調査を実施した折爪断層においても単位変位量(鉛直方向)はおおよそ3〜5mと推定される。千谷断層及び折爪断層は松田(1990)で分布範囲が長いことから特定断層とされている断層である。これらのことから、単位変位量(鉛直方向)が5m以上になる可能性は低いと考え、活動間隔が4,500〜5,000年の方が可能性が高いと推定される。