空中写真判断による地形面区分と底田付近で実施した浅層反射弾性波探査の結果から、高位段丘堆積物上面の変位量を見積もると、70m程度以上となる。
この撓曲構造は、地表調査の結果では、北方は清水目川付近まで確認され、南方は調査範囲を越え、さらに南方まで連続しているものと考えられる。また、前述した上原子断層は、この撓曲構造とはセンスが逆(東上がり)であり、走向がほぼ同じで山側(西側)に分布していることから、撓曲構造の副次的な断層で、バックスラストである可能性が高いと考えられる。
市ノ渡川河岸及び浅尺ボーリングで三本木面下の埋没段丘堆積物中に挟まれる約8万年前を示すテフラである十和田レッド(To−Rd)を追跡し、その標高を測量したところ、リニアメントを挟んだ両側で標高のくい違いは認められなかった。このことから、撓曲は約8万年前以降は活動しておらず、その活動は急激に衰えたものと考えられる。