底田西方のリニアメント近傍には大規模な土取り場があって、甲地層及び高位段丘堆積物が分布している。甲地層は、砂岩、礫岩及び凝灰岩からなる。地層の走向は概ねNNE−SSW、傾斜は下位で垂直に近い急傾斜(一部逆転)を示すが、上位に向け徐々に緩やかになり、露頭の端では50゚E前後となる。甲地層上部には、高位段丘堆積物との不整合面直下に凝灰岩を頻繁に挟むゾーンがあり、この最下位と最上位の凝灰岩について、フィッショントラック年代及び熱ルミネッセンス年代測定を実施した結果、以下のように、1.2±0.2〜2.95±0.78Maと更新世前期、鮮新世末期の年代値を得た。
フィッショントラック年代 熱ルミネッセンス年代
最上位の凝灰岩 1.2 ±0.2Ma 1.48±0.60Ma
最下位の凝灰岩 2.70±0.4Ma 2.95±0.78Ma
露頭東端部には甲地層を不整合に覆って高位段丘堆積物が分布しており、不整合面は40゚E前後と傾いている。高位段丘堆積物は、上位にむけて傾斜が緩くなり、30゚前後から18゚へと傾斜が緩くなっている。
以上から、少なくとも高位段丘堆積物は撓曲による変形を受けていることが明らかである。