調査地域北部の土場川や近沢川の上流域では、軸部に四ツ沢層の硬質頁岩が地窓状に露出し、背斜の西翼部が30゚〜50゚、東翼部が20゚〜25゚と緩やかな背斜構造を示し、東翼部で傾斜が緩やかとなっている。なお、和田川層は、平内町助白井で走向NEE−SWW、傾斜30゚N、同町狩場沢で走向NW−SE、傾斜25゚NEを示すことから、背斜軸は北へプランジし、背斜はさらに緩やかになっているものと考えられる。
近沢川から調査地域中央部の清水目川流域の間には、塊状の凝灰角礫岩が分布しており、地質構造は不明瞭であるが、その南方の坪川流域から再び四ツ沢層が露出することから、上記区間でも地表面下の浅部に和田川層と四ツ沢層の境界が存在していると推定され、北部区間と同様の緩やかな背斜構造となっていると考えられる。
清水目川以南では、坪川流域で、坪川橋から天間ダムの間の河床部に四ツ沢層の硬質頁岩が露出し、その南方の栗ノ木沢川上流にも地窓状の露出が見られる。走向はN−S〜NNW−SSEで、西翼部の傾斜が30゚〜40゚、東翼部の傾斜が50゚〜65゚と、背斜構造は東翼で急傾斜となり、撓曲構造に移化している。
市ノ渡川以南では、背斜軸は調査地域外の西方の山地にある。また、市ノ渡以南では、倉岡後川上流から作田川にかけて四ツ沢層の硬質頁岩や流紋岩質凝灰岩が概ね南北性の走向で、東へ70゚〜80゚の急傾斜を示し、作田川から和田川ではそれらが逆転して西傾斜となっている。
以上のように、背斜構造は、調査地域西側の山地に認められ、主に中新統四ツ沢層と和田川層に変形を与え背斜軸はほぼ南北に連続していると考えられる。また、坪川以南で背斜構造の東翼部が撓曲となっているが、清水目川以北では地層の傾斜が徐々に緩やかになっている。