(1)地質構造概要

本地域の地質構造は、脊梁山地新第三系の背斜とその東翼に続く撓曲構造によて特徴づけられる。新第三系の背斜構造は調査地域西縁にほぼ南北に延びる。撓曲構造は、南部の天間林付近で著しく、北部では徐々に緩やかになり、野辺地付近では南北性の方向で東に傾斜する同斜構造となっている。また、第四系の段丘堆積物は、高位の面(高位段丘>七百面段丘>天狗岱段丘)ほど東に傾斜している。低位の三本木段丘堆積物はほぼ水平な構造を示す。

撓曲構造は、調査地域南部の背斜の東翼部に認められ、中新統四ツ沢層、和田川層及びこれらを不整合に被覆する中新統市ノ渡層及び鮮新統甲地層を変形させ、背斜軸とほぼ平行して南北に延びている。撓曲は市ノ渡川以南で著しく、一部で逆転構造を示す。

撓曲構造が概ね南北方向の軸を有し、撓曲の一部がZ字状に逆転していることは、中新世以降、この地域が東西圧縮の場にあり、鮮新世以降山地側が著しく隆起したことを物語っている。その変動傾向は、段丘面の分布高度や傾動量の違いなどから、少なくとも第四紀更新世の中期までは続いていたが、更新世後期には終息していたと考えられる。