撓曲構造は、調査地域南部の背斜の東翼部に認められ、中新統四ツ沢層、和田川層及びこれらを不整合に被覆する中新統市ノ渡層及び鮮新統甲地層を変形させ、背斜軸とほぼ平行して南北に延びている。撓曲は市ノ渡川以南で著しく、一部で逆転構造を示す。
撓曲構造が概ね南北方向の軸を有し、撓曲の一部がZ字状に逆転していることは、中新世以降、この地域が東西圧縮の場にあり、鮮新世以降山地側が著しく隆起したことを物語っている。その変動傾向は、段丘面の分布高度や傾動量の違いなどから、少なくとも第四紀更新世の中期までは続いていたが、更新世後期には終息していたと考えられる。