2−3−5 五所川原市松野木付近の地形

五所川原市松野木付近の微地形区分図を図2−3−10、地表調査による地質平面図を図2−3−11に、地質断面図を図2−3−12−1図2−3−12−2図2−3−12−3に示す。

この地域では長者森山とその東側の谷底平野の境界が明瞭なリニアメントとして認められる。このリニアメントの東側は現在の沖積層よりも高い谷底低地面であり、この谷は南西端で長者森山の南方延長部と大山祇神社のあるWfa面の高まりによって閉塞されている。また、谷底を流れる川もこの丘陵と扇状地面の間から沖積平野に流れ出ている。川が沖積平野に出る地点では谷底低地が沖積平野よりも約3m高くなっており、川に削られて崖を形成している。この谷底低地面は標高35〜60mであり、付近の沖積層(標高30〜35m)よりも一段高く、松野木集落の東方でWfa面(標高25〜50m)を切っている。したがって、この谷底低地面はWfa面形成後、沖積層形成前に形成されたと思われる。

長者森山東縁のリニアメントの走向はほぼ南北方向で、津軽山地西縁断層帯中部の崖地形と緩く斜交する。長者森山の頂部付近から西側には鶴ヶ坂凝灰岩が分布するが東側の斜面には分布しない。また、平地のある谷を挟んで東側の山地には鶴ヶ坂凝灰岩が分布する(図2−3−12−1〜3参照)。また、谷の末端部付近では図2. . に示すような小規模な断層露頭も確認されている。このことから長者森山東縁のリニアメントは断層によるものである可能性が高く、断層は西傾斜で、相対的に西側が隆起している逆断層であると考えられる。また、長者森山の西方では津軽山地西縁断層帯の撓曲が認められる。このことから長者森山東縁の断層は津軽山地西縁断層帯の飯詰付近の撓曲に伴う“バックスラスト”によるものと考えられ、後述する大平断層の北方延長であると推定される。