津軽山地西縁断層帯の北部及び中部は、空中写真判読及び地表踏査によって丘陵地と段丘(Ⅲm面またはⅣfa面)の境界部の崖地形として認められた。金木町金木付近ではⅡf面とⅢm面の境界の傾斜変換点として認められるが、明瞭な崖地形は認められない。また、金木町金木から毘沙門にかけて、段丘に近い沖積平野の中に比高1~3mの小丘が配列する断続的なリニアメントが認められた。
五所川原市飯詰から南側の、津軽山地西縁断層帯中部の南半分及び南部では段丘面の末端部が西へ向かってたわみ、段丘面の末端は沖積面下に没している。このたわみは五所川原市飯詰から浪岡町銀にかけてのⅠm面及びⅣf面に認められる。たわみのない部分は、浪岡町下石川付近のⅠm面では0.5゜~0.9゜(8~11/1,000)と、ごく緩い。それに対して、たわみの顕著な浪岡町下石川地区ではたわんだⅠm面の傾斜は最大で3.1°(54/1,000)であり、撓曲範囲では2.4°(42/1,000:以上、後述の弾性波探査T-3測線沿い)である。このようなたわみは前出の地形断面図でも認められ、例えば断面図 24でのⅠm面撓曲部の全体の傾斜は2.6°(46/1,000)である。また、五所川原市飯詰の五所川原農林高校のあるⅣfa面を横断する断面図13では、Ⅳfa面のたわんでいる部分全体の傾斜は1.3°(23/1,000)であり、Ⅳfa面の形成年代を約2万年前と考えると、Ⅰm面に比べて単位時間当たりの傾動量は大きいと考えられる。このことについては、3.4項で述べる。飯詰よりも北側の段丘面には撓曲は認められない。
さらに、以下の場所で崖状地形が認められる。五所川原市飯詰北東方の河川の西岸(比高約25m)、五所川原市金山から松野木にかけての長者森山の東側(比高約65m)、五所川原市羽野木沢付近(比高約2m;不明瞭)、五所川原市高野(比高約2m;不明瞭)、浪岡町下下平(上記の大平断層に相当する)(比高約10m)、浪岡町樽沢(比高約2m;不明瞭)。これらはいずれも相対的に西側隆起であり、その走向はNNW-SSEで、五所川原市飯詰から浪岡町樽沢までほぼ直線的に並ぶ。