(1) トレンチ調査
a 実施地域
実施箇所は、津軽山地西縁断層帯で2箇所である。トレンチ掘削位置は、水田(休耕田含む)である。実施位置選定にあたっては、極浅層反射法弾性波探査、電気探査及びボーリング調査を実施して総合的に判断し、委員会の助言を受けて決定した。
b 作業手順
トレンチ調査の作業手順は以下のとおりである。
@ 作業にかかる前に、作業名、作業期間、現場責任者名及び連絡先を明示した看板を、掘削地点近傍に設置した。伐採が必要な部分は伐採し、用地の境界を定め、平板測量によりトレンチ掘削前の平面図を作成した。また、復旧時の目印になるよう適宜杭を設置した。
A 掘削土の保管場所にシートを敷き、まず重機により表層の耕作土を掘削して保管した。
B トレンチの掘削に当たり、まずトレンチの長軸方向に溝状に試掘を行って地質構造等を確認し、最も適切な場所をトレンチとして整形した。
C 掘削土は土、砂礫等土質に応じて分別して保管し、掘削後はシートで覆って養生した。掘削後のトレンは周囲をトラロープで囲い、農道等にかかる部分にはカラーコーン及び点滅灯を設置し、安全標識を適宜配置した。また、ポンプを用いてトレンチ内の排水を行った。トレンチに隣接して、現地調査本部として床面積2m×4m程度のユニットハウスを設置し、長机2台、椅子8脚、タンク式の簡易トイレを備えた。
D 掘削後にトレンチ法面を手作業により平滑に整形した。整形した法面に、黄色の水糸と釘を用いて1m メッシュのグリットを設け、法肩に水糸にあわせた1mごとの標識(看板)を設置した。標識設置後できるだけ早いうちに法面及び全体の写真撮影を行った。写真撮影後、シートで養生した。
E 法面の地質を詳細に観察してスケッチを行った。観察は縮尺20分の1精度でスケッチ図に表現できる程度に地層を区分し、単層ごとの層相・堆積構造・堆積ユニット・地層境界の性状、層位関係、亀裂、動植物体、液状化跡、考古遺物等に注意して行った。
F 法面に現れた腐葉土、木片、火山灰等の試料を採取し、試料の種類・トレンチ名・壁面名・採取位置の座標・試料番号等を記入したポリ袋に収納し、スケッチに試料採取位置と試料番号を記入した。
G 法面観察、試料採取終了後に平板測量によりトレンチの平面図を作成した。平面図はトレンチの周囲5m 以内の地形を併せて表記し、縮尺は200分の1で高さの精度は±5cmとした。
H トレンチを埋め戻し、原形どおり復旧し、地権者の立ち会いのもと復旧の承認を得た。
(2) ピット調査
a 実施地域
実施箇所は、津軽山地西縁断層帯で3箇所である。ピット掘削位置は、五所川原農林高校内の試験農場で、畑地及び牧草地である。
b 作業手順
ピット調査の作業手順は以下のとおりである。
@ 掘削位置を選定し、目印となる杭を設置した。
A 小型バックホーで掘削し、掘削土は近傍に置いた。
B 掘削後、掘削面を整形して写真撮影を行った。その後、法面の寸法を測り、観察を行い、必要に応じて炭質物等の試料を採取した。
C 観察終了後、充分に転圧しながら迅速に埋め戻した。