(2)空中写真判読及び地形地質概査

・地形解析(空中写真判読等)により、名久井岳東麓の山地と丘陵の境界が北北西−南南東方向の直線的な急崖をなしていることが判読された。

・地形地質概査により、主な段丘面と示標テフラとの関係がほぼ確認でき、文献調査による結果とほぼ同様な、おもな段丘面の形成年代が推測できた。

・断層の形態が県境から少なくとも3.6kmは断層をなし、それ以北は撓曲となっている。

・国土地理院の2万5千分の1地形図を利用した地形解析では、折爪断層・辰ノ口撓曲による変位は、馬淵川南岸から五戸川南岸地域において鮮新統斗川層、高位面(変位量約50m)、高館面(変位量約15m)に認定された。ただし、変位量の読みとり値には±3m程度の誤差を含む。馬淵川南岸の高舘面には撓曲変形である可能性がある地形の高まりが認められたが、調査精度から検討して有意ではないと考えられる。

・鮮新統以降の平均変位速度は0.11〜0.15m/千年と算出され、活動性はC級に近いB級であり、低い。

・最新活動時期は、五日市面及び三本木面を変位させていないと見られることから、少なくとも三本木面(約1万2千年前)形成以前と判断され、五日市面(約2万5千〜3万3千年前)形成以前の可能性が高いことが分かった。