(2)放射性炭素同位体年代測定法

放射性炭素同位体年代測定法(14C法)とは、生物遺骸中での14Cの壊変量を測定して年代に換算する方法である。成層圏で生じた14Cなどの放射性炭素は大気・水の循環と食物連鎖を通して生物体内を循環するが、生物が死んだときに新たな放射性炭素の供給がなくなって生物遺骸中で一定量毎に壊変していく。よって残存する14Cの量を測定することで年代を測定することができる。

この測定方法としては、β線計数法(ガス比例計数管法、液体シンチレーション法など)と加速器質量分析法(AMS法)がある。液体シンチレーション法はAMS法に比べて試料の量・状態さえ良ければ比較的速やかに結果を得ることができ、精度の面からも約8000年前以降の試料に関してはAMS法にも劣らない。AMS法は、液体シンチレーション法に比べて試料が千分の1の量で済み、測定年代の範囲も液体シンチレーション法が3万年前程度以降であるのに対しておよそ6万年前程度まで測定できる。本調査ではβ線計数法(液体シンチレーション法など)と加速器質量分析法(AMS法)を試料の量・状態および想定される年代に応じて選択した。

加速器質量分析法(AMS法)は加速器質量分析機を用いて試料中の14Cの現在の量をそのまま測定し、壊変量と現在量の総和である大気中の放射性炭素の初期量が常に一定であったという前提に基づいて年代を算出する。

β線計数法(液体シンチレーション法)は試料をベンゼンなどの液体にしてβ線比例計数管で測定し、測定時間内に新たに壊変した放射性炭素の量から放射性炭素の残存量を推定して年代を算出する。

以上の方法で得られた14C年代測定の結果は、AD1950年を基準として表している。

測定は(株)地球科学研究所に依頼した。また、年代測定データシートを資料編に収録した。