1−2−4 ピット調査

入内断層の完新世における活動履歴に関するデータを得るため、青森市細越常盤地内で、断層が分布すると想定される位置付近でピット調査を実施した。以下にピット調査の実施方法について記述する。

a 実施箇所

実施箇所は、入内断層沿いの青森市細越常盤地区で4箇所、いずれも畑地である。実施箇所選定にあたっては、地形・地質精査を踏まえ、委員会の現地視察及び助言のもとに決定した。

b 作業手順

トレンチ調査の作業手順は以下のとおりである。

@ 作業にかかる前に、作業名、作業期間、現場責任者名及び連絡先を明示した看板を、掘削地点近傍に設置した。作業範囲をトラロープを用いて表示し、安全看板・カラーコーンを適宜設置した。また、調査地内には水路があるため、水路を横断できるように通路を仮設し、同時に資材等の搬入路を確保した。

A 掘削土の保管場所にシートを敷き、まず小型バックホーにより表層の耕作土を掘削して保管した。掘削土は土、砂礫等土質に応じて分別して保管し、掘削後はシートで覆って養生した。ピットはおよそ幅2m×奥行き2m×深さ2mで掘削した。また、ピット内には多量の湧水が認められたため、ポンプを用いてピット内の排水を行い、やや不安定な法面については矢板等で補強した。

B 掘削後にピット法面を手作業により平滑に整形した。整形した法面に、黄色の水糸と釘を用いて1m メッシュのグリットを敷設し、法面及び全体の写真撮影を行った。写真撮影後、ピットはシートで養生した。

C 法面の地質を詳細に観察してスケッチ(縮尺1/20)を行った。観察にあたり、単層ごとの層相・堆積構造・堆積ユニット・地層境界の性状、層位関係、亀裂、動植物遺体、液状化跡、考古遺物等に注意して行った。法面に現れた腐葉土、木片、火山灰等の試料を採取し、試料の種類・ピット名・壁面名・採取位置・試料番号等を記入したポリ袋に収納し、スケッチに試料採取位置と試料番号を記入した。

D 法面観察、試料採取終了後に平板測量によりピットの平面図を作成した。平面図はピット周囲の南北約130m、東西約90mの範囲の地形を併せて表記し、縮尺は200分の1で高さの精度は±5cmとした。

E 上記の作業がすべて終了した後ピットを埋め戻し、資材を撤去し、整地等を行って原形どおり復旧し、地権者の立ち会いのもと復旧の承認を得た。