以下に、極浅層反射法弾性波探査の具体的な測定手順について述べる。これは、1起振点についての作業手順であり、同様の作業を測線全長にわたって繰り返すことになる。なお、図1−2−3に反射法弾性波探査の測定方法模式図を示す。また報告書資料編に、現場作業状況の写真を添付する。
@受振器・ケーブルの設置
図1−2−3に示すように、測量で設定した5m間隔の各受振点に受振器(ジオフォンストリングス)を設置する。本調査では、各受振器の設置間隔を2m、アレイ長を22mとした。受振器間隔の決定にあたっては、各測線の本測定開始前に、受振器間隔の異なる3種類の受振器配置でテスト測定を行い、表面波ノイズがもっとも小さくなる間隔を選択した。次に受振器とデータ収録器を専用ケーブル(CDPケーブル)で接続する。また起振時刻を知らせるために、振源からトリガーケーブルをデータ収録器に接続する。
A起振作業
重錘の落下点が測量で設定した起振点位置となるように起振車を移動し、重錘を高さ1〜3mまで引き上げる。落下点には、舗装面の保護のためウレタンマットを敷き、その横には重錘の落下時を感知するトリガーセンサーを設置する。準備完了後は待機し、以下に述べるように測定本部の合図を受け、重錘を落下させる。
Bデータ収録
測定本部では、起振点位置に応じて受振する96点の受振器を選択し、測定器の調整を行う。起振点の準備が完了した時点で、全受振点におけるノイズ状況をモニターする。そして、風や交通振動などによるノイズの小さい時を見計らって起振作業者に連絡し、重錘を落下させるよう指示する。重錘が落下すると、落下地点近傍に置いたトリガーセンサーで検出した信号がケーブルを介してデータ収録装置に電送され、データ収録が自動的に行われる。観測者は収録されたデータをディスプレイまたはプリントアウトで観察し、良好であると判断した場合、そのデータをハードディスクに保存する。なお、1回の起振で十分なエネルギーの反射波が観測されていないと判断した場合、同一地点で複数回の起振を繰り返し、観測信号を加算するスタッキング(垂直重合)測定を行う。スタッキングを行うと、ランダムに振動するノイズ成分が弱められ、反射波の信号が相対的に強調され、S/N比が向上する。