(3)五戸川沿いの段丘面と撓曲
五戸川沿いの各段丘面は、図3−2−16のように高位面、高館面、十和田八戸軽石流面、三本木面、尻内面が分布し、高館面より低位の段丘がいずれも撓曲帯を横断して分布している。高位面は撓曲帯の東側直近で旧汀線となり、その西側には分布しない。このうち、三本木面は現河床勾配よりわずかに急な勾配をもって、尻内面は現河床にほぼ平行に、いずれもスムーズに高度を下げ、撓曲帯の上・下流間で変位は認められない。高館面は、上流から下流に上面を連ねると、撓曲帯において急に勾配が増し、それより下流で元の勾配に復元する。その変位は、下流側が約15m低下しており、誤差を考慮しても有意な差と認定され、位置及び変位も撓曲に調和していることから撓曲に伴い形成されたと判断される。同様に、高位面も同位置で約50mの変位が認められ、撓曲に伴う変位と判断される。なお、十和田八戸軽石流面は火砕流面であるので検討対象から外した。したがって、五戸川沿いにおける撓曲による段丘面の変位は、高位面では不明、高館面で約15mと見積もられ、三本木面以下では認められない。