(1)馬淵川沿いの段丘面の変位と撓曲・リニアメント
馬淵川沿いの各段丘面は、図3−2−14のように、七百面、天狗岱面が撓曲帯及びリニアメントより下流にしか分布せず、高館面より低位の段丘面がそれを横断して分布している。高館面より低位の段丘面はほぼ馬淵川河床の勾配に調和して上流から下流に高度をさげている。このうち、五日市面、三本木面は現河床勾配よりわずかに急な勾配をもって、尻内面は現河床にほぼ平行に、いずれもスムーズに高度を下げ、撓曲帯・リニアメントの上・下流間で変位は認められない。高館面は、撓曲帯・リニアメント付近で小さな膨らみが認められ、変位を受けている可能性があるが、上面を上流から下流に連ねると、ほぼ一定の勾配で高度をさげており、前記の膨らみによる高度差は10m未満であることから、誤差を考えると有意な差とは認定されないと判断した。したがって、馬淵川沿いにおける撓曲による段丘面の変位は、七百面、天狗岱面で不明、高館面で可能性はあるが認定されず、五日市面以下では認められない。