2−3−1 文献資料による概要及び問題点

文献資料による入内断層の概要は、活断層研究会(1991)に代表されるように、山地・丘陵と青森平野・八甲田火山山麓との境界にあって、ほぼ南北方向、西側隆起の活断層であることは共通している。長さに関してはおおむね7.5km〜12kmであるが、地質調査所(1993)では北方の青森湾西岸にまで連続させている。活動性に関しては、活断層研究会(1991)に変位基準・変位量が示され、活動度A〜Bとされているのみである。

このように、入内断層の実在性は高いと考えられるが、次のような問題点がある。すなわち、入内断層に関する記載は、断層の性状について具体的に、詳細に記載したものは少なく、断層の正確な位置及び長さが一定していない。また、活動性に関するデータは、地形に依存しており、地質による裏付け(特に変位・変形している地層の有無、それら地層の堆積年代等)がほとんどないのが現状である。