(4)入内断層と東西地域の構造差

西側の丘陵地域では新第三系が主に青森空港より南側の山地に露出し、第四系の大釈迦層、八甲田第1火砕流堆積物、岡町層も八甲田第2期火砕流堆積物に広く覆われ、局部的ではあるが、露出している。一方、東側の火山山麓・平野地域では八甲田第2火砕流堆積物及び完新統が地表を厚く広く覆い、地下の地層分布及び地質構造(断層・褶曲等)は明瞭に把握できない。しかしながら、既存のボーリング資料によれば、東側地域の火山山麓の八甲田第2期火砕流堆積物の下に岡町層(砂・礫)、鶴ヶ坂層(八甲田第1期火砕流堆積物)、大釈迦層等の第四系が、平野では完新統の下位に新期火砕流堆積物(八甲田第2期火砕流堆積物)の下に岡町層、鶴ヶ坂層、大釈迦層等が地下深部に分布している。完新統も最大約−30mまで分布し、東側地域が沈降域であることをものがたっている。このように、西側の丘陵地域と東側の火山山麓・平野地域とでは対応する地層の分布高度に西高・東低の構造差があり、相対的に西側隆起、東側沈降の構造運動が想定される。

既存の弾性波探査反射記録によれば、空港東方の入内川左岸の変位地形に起因するリニアメントの位置に西上がり東落ちの断層が解析されている。このセンスは前述の広域的な西側で隆起、東側で沈降の構造差と符号することから、反射断面に解析された不連続面(断層)が入内断層に相当すると判断され、東西の構造差はこの断層の活動に伴って形成されたものと考えられる。