とくに、男鹿半島南方から南南西方向に断続する断層群は飛島海盆西縁を隔てており、海岸線との間の深い堆積盆の境界断層として、一つの地質構造単元を形成する構造線となっている。このうち秋田市沖合い付近には岩渕(1998)により北北東−南南西の走行を持つ5条の逆断層が男鹿半島南方断層(仮称)として音波探査記録の再解析により見出されている。これらは約1.8万年前以降の堆積物である沖積層に変形を与えており、概ね二千数百年の間隔で活動を繰り返しているいるものと考えられている。福留(1993)はこの付近に西傾斜の逆断層「秋田湾中央断層」を提唱している。
この堆積盆西縁の断層群と由利丘陵との間には断層線は引かれていない。これは調査されていないのではなく、海上保安庁水路部(2002)によると音波探査の結果として浅層部には断層が存在しないことが報告されている(図3−2、図3−3)。しかし、海岸線のごく近傍(沖合3〜4km)は音波調査が実施されていない。
なお、堆積盆西縁の断層群のさらに西側(海岸線から40km)付近には連続性の大きい断層群が指摘されている。