調査内容は初年度の平成14年度は陸域の地形・地質解析及び既往反射記録の再処理・再解析による断層の形態・分布位置の把握、次年度の15年度は音波探査による断層上載地層の性状等の把握、最終の16年度は海域でのコアリング、試料分析等による最新活動時期や活動履歴、平均変位速度の解明である。
調査対象の北由利断層は2.1項で述べるように地下資源開発を目的とした詳細な調査によりその存在が明らかになっているものである。しかし、最近、すなわち第四紀後半の活動性については、由利丘陵における地形的特徴が明瞭でないため、伏在断層として新編「日本の活断層」には表示されている。
一方、東北地方では深度数kmの上下部地殻境界まで取り込んだ地下構造の見方が提起され(佐藤ほか1999など)、これによると北由利断層は由利丘陵の沖合い数10kmまでの海域を含めた構造システムでの一つの断層と位置付けられている。
このため、陸域の伏在断層の活動性調査のみではこの領域の活断層を見落とす恐れがあり、調査範囲を広げて絞り込みを行うことになった。幸い、この地域では地下資源探査のデータが豊富であり、平成14年度は陸域の調査とともに、これら既存の反射法地震探査データの再解析を主体とした調査を行うことにした。