3−1−8 層 序

調査地には新生代第三紀中新世〜第四紀更新世前半の女川層、船川層、天徳寺層、笹岡層、および中沢層が分布し、これらを覆って高位、中位、および低位段丘堆積物と沖積層が広く分布する。

第四系については、大沢他(1984、1985)の地域地質研究が詳しい。完新統については、白石他(1990)による秋田県八郎潟の完新世海進海退地史の研究、藤本(1986、1987)による能代沖積平野の地盤地質と地史研究、および伊藤(1996)による八郎潟層の堆積速度の変化に関する研究などがある。

また、的場(1992a、1992b)は、有孔虫群集の変遷を用いて沈降部である男鹿半島の第三系層序に関する変革を展望した。的場(1992a)は、能代断層低下側が鮮新世末〜更新世中頃においても沈降域に置かれ、隆起側に分布する天徳寺層、笹岡層、および中沢層が、低下側では同時期に堆積した男鹿半島の船川層、北浦層、および脇本層の堆積環境を示すと指摘している。

本調査では、女川層〜中沢層の地層区分については基本的に大沢他(1984、1985)にしたがったが、地質総括表には的場(1992a)や白石・的場(1996)による男鹿半島の層序との対応を併記した。