本調査では推定にとどまっている最新活動時期および単位変位量、平均変位速度、再来間隔等について、より詳細かつ確実なデータを得ることである。
〈 来年度の調査方針 〉
@ 後期更新世以降の能代断層の基本的変形形態は撓曲構造である。よって、トレンチ掘削により断層の性状を直接確認する調査手法は適用できない。
A 八郎潟北岸地区や米代川南岸地区の沖積面の変位や撓曲は、これら沖積面の形成史を解明することによって能代断層の最新期の活動性が評価できることを示唆している。
B 調査手法としてはボーリングやジオスライサーによる地質構造確認・対比とそれらから採取される試料の分析による地層の年代決定が有効かつ主体となる。
来年度の具体的な調査計画案を表2−5−1および図2−5−1に示す。この調査計画では、地形・地質の特性と解明すべき事項との関係により調査区域を3地区に区分した。各地区の概要を以下に記す。
〈 八郎潟北岸地区:沖積低地 〉
@ 約8,000年前から1694年「能代地震」にいたる完新世の活動履歴を解明し、最新活動時期および単位変位量、再来間隔を決定することを目的とする。
A 最下位の沖積面が古記録にある1694年「能代地震」の際の隆起域に概ね一致しており、最新活動時期の解明に適する。
〈 浅内沼地区:中位段丘および沖積低地 〉
@ 10数万年前から数万年前にいたる活動履歴を解明し、後期更新世以降の平均変位速度を決定することを主たる目的とする。
A 中位段丘と沖積低地という異なった地形・地質単元にまたがる反射法探査測線があり、その結果を援用して平均変位速度を評価するのに適する。
〈 米代川南岸地区:沖積低地 〉
@ 約3万年前から現在にいたる活動履歴を解明し、後期更新世以降の単位変位量および再来間隔を決定することを目的とする。
A 最上位の沖積面に撓曲が認められること、既往の土質調査ボーリングにより沖積層中に鍵層となりうる軽石層が少なくとも3層確認されていることから、変位の累積性を解析するのに適する。
表2−5−1 平成13年度調査計画(案)
図2−5−1 平成13年度調査計画図