@ 空中写真判読では、傾動・撓曲は認められるが東側の上昇を示す断層崖は判読されない。
A 地表踏査では、後期更新統の傾動・撓曲は観察されるが、東側隆起を示す断層露頭や変位地形は確認されない。
B 八郎潟北岸地区の能代地震隆起域は東へ向かって次第に幅を減じて消失する。また、沖積面の汀線高度も東へ向かって低下する。したがって、能代断層の隆起側地塊は東へ向かって傾動しており、その最大隆起部は鵜川背斜付近にある。
C 1/5,000国土基本図の標高情報からは、浅内沼をとおる南北方向の非常に緩やかな向斜構造(浅内向斜)が認められる。この向斜構造は反射法探査でいう「表層基底層」にも読み取れる。また、E層基底より浅部の堆積層にも同様な傾向が認められる。
〈 反射法探査結果解釈 〉
@ E層基底は大きな不整合面である。この不整合面の下位には、能代断層を境として、隆起(東)側に中新世中期〜後期の古い地層が分布しているのに対し、沈降(西)側に中新世後期〜鮮新世の新しい地層が厚く分布している。
A 能代断層の活動の痕跡はE層基底の不整合面で一度リセットされる。
B E層〜H層には層厚の変化や撓曲変形の累積性が認められる。
C E層およびF層にはごく僅かな断層変位が認められるが、より上位のG層およびH層に断層変位はなく撓曲変形のみが認められる。
D 隆起側地塊には向斜構造や背斜構造が発達しており、背斜頂部付近では反射波の乱れが大きい。
E 地表地形から逆向き断層群(西落ち)の存在が予想された逆川断層D付近および逆川断層C付近には、反射法探査結果から明確な断層を解釈するのは困難である。地層面そのものが地表付近で高角になる様子は一部確認できるので、地形地質調査で確認された逆向き断層群は層面すべりの可能性がある。
〈 総 括 〉
@ 能代断層の第四紀後半の基本的変位形態は撓曲である。
A 鵜川背斜と浅内向斜との間が能代断層による撓曲帯である。
図2−4−2 総合検討図
図2−4−3 地質構造検討模式断面図