(4)古期砂丘(MD)

成合地区の海成砂層と砂丘砂は、逆川断層B付近では20〜30mの厚さを持っている。砂層の底部にToyaが、その上位10〜20mにAso−4が位置している。Aso−4の上位にはやや褐色を帯びた砂層が4m程度載ることがある。一方、Aso−4の下位4〜6mには泥炭層を挟在することがあり、野村他(2000)は泥炭層の直下に三瓶−木次テフラ(SK)を記載している。

大沢他(1985)は、砂丘砂の基底部付近にToyaが位置することから、下末吉面相当の潟西段丘の上位に砂丘砂が堆積したとしている。しかし、一部の露頭ではToyaの上位の砂層に生痕化石が認められ、泥炭層直下の砂層には浅海に自生する海緑石が含まれていることがある。これらの事実を考え合わせると、同位体ステージ5eの海進期を過ぎて一度離水したものの、一部では同位体ステージ5cの海進期に再び海面下に置かれたことが想定される。

成合地区の古砂丘堆積物は、その大部分がToyaとAso−4の間の層準に分布している。また逆川断層BではAso−4の変位量と地形面の変位量がほぼ一致している。このことは古砂丘の主要な成長期が同位体ステージ5cの海進期であったことを示しており、変位基準となる地形面の年代を同位体ステージ5cとした。

図2−4−1 中位段丘構成層とテフラの関係