(2)変位地形および地層の変位

地表踏査によって確認された変位地形と地層の変位、変形を表2−2−4にとりまとめた。

〈 能代断層の変位、変形、変動地形 〉

空中写真で判読された中位段丘の傾動、撓曲部では、数地点において傾斜した中位段丘構成層が確認された。成合地区ではMD面の構成層が西へ5〜20°で傾斜し、特に逆向き断層上昇側では10〜20°の傾斜を示す。しかし、段丘面構成層を切断する断層が確認または推定される箇所は認められず、能代断層の基本的な変位形態が撓曲構造であることを示唆する。

八郎潟北岸地区や米代川流域の沖積段丘は、水田の整備や都市化により改変され、不明瞭となっていることも多い。段丘崖が比較的保存されている地点における段丘崖の高さは、米代川流域では1m強、八郎潟北岸地区では50cm〜1m程度である。

〈 逆向き断層群の変位 〉

空中写真で判読された逆向き断層の断層崖は、いずれも現地で確認された。

以下の断層では、逆向き断層の露頭や、断層近傍で中位段丘構成層の撓み込みが確認された。

@ 小手萩断層は、能代市石盛台北東方の切土において背斜構造東翼のM3段丘面構成層が最大25°で東へ傾斜している。

A 小手萩断層東側を併走する小背斜は、能代市藤切台西方においてM3段丘面構成層が背斜構造を形成する。背斜構造西翼で段丘堆積物は7〜8°で緩やかに傾斜しているが、東翼では最大44°まで傾斜して撓み込んでいる。

B 逆川断層Aは、能代市逆川北方においてMD段丘面構成層がほぼ直立し、その上位のロームも50°程度傾斜している。

C 逆川断層Bは、能代市逆川南西方においてMD段丘面構成層とこれに挟在するToyaおよびAso−4を切断する断層露頭を確認した。断層によるテフラの鉛直変位は、Toyaで約22m、Aso−4で約17mである。ただし、低下側のToyaは同露頭に分布しておらず、約500m離れた地点の標高から推定した。さらに、この露頭の南方約500mの地点では、同断層がロームを切断している小露頭が観察される。

D 逆川断層Cは、能代市福田東方においてMD段丘面構成層とこれに挟在するシルト層が東へ25°傾斜し、撓み込んでいる。

E 逆川断層Dは、能代市成合においてMD段丘面構成層が東へ30°傾斜し、撓み込んでいる。

表2−2−3 地質総括表

表2−2−4 断層変位に関わる踏査結果一覧表