(1)構造検討

隆起側の構造は、B−7孔とB−9孔に分布する堆積物の分布標高がほぼ一致しているため、概ね水平な構造を示すとみられる。2孔間の基盤上面は、わずかに東へ傾動している可能性もある。一方沈降側の構造も、反射法地震探査の解釈断面からみて、B−6孔付近ではほぼ水平な構造を持つとみられる。

B−6孔とB−8孔を比較すると、同位体ステージ3相当以前の堆積物は西へ傾斜し、2孔間で対比される層準の深度差は、深部へ向かって累積的、系統的に大きくなる。

一方、沖積層基底の不整合面(同位体ステージ2に相当)は、後期更新統の構造とは逆に東へ傾斜している。B−6孔とB−8孔とでは約2mの高度差がある。

注目すべき点として、B−6孔の沖積層において、汽水環境から淡水へ移行する層準が、標高3〜5mに位置していることが挙げられる。縄文海進最高海面期の海水準は、一般に現海水準から2〜4m高いとされていることを考慮すると、B−6孔付近は能代断層の沈降域にありながら、完新世に入ってほとんど沈降していないことを示している。