(1)火山灰分析

火山灰(テフラとも言う)に含まれる鉱物や火山ガラスの種類・屈折率等は噴出源の溶岩の性質によって火山毎に特徴があり、それらの性質を分析し既知のものと対比できれば、噴出源から離れた地点の火山灰でも噴出源や噴出年代を特定できる。

能代断層の周辺地域では、指標となる火山灰として「Aso−4(噴出源:阿蘇山、降下年代85〜89ka,同位体ステージ5a/b)」や「Toya:噴出源:洞爺カルデラ、降下年代110〜115ka,同位体ステージ5d」等が知られている。

火山灰の分析は、全試料について全鉱物組成分析(火山ガラス、軽鉱物、および重鉱物の量比の測定)と火山ガラスの屈折率の測定を行った。

火山ガラスの屈折率の測定は1試料あたり30個のガラス片について行ったが、火山ガラスの含有率が低い場合にはそれ以下の測定数となることがある。また火山ガラスの形態や色の有無についても併せて記載した。屈折率を測定した結果、複数の広域テフラに対比される可能性があると判断された試料や、当地域で知られていない広域テフラに対比される可能性がある試料については、対比される可能性があるテフラの鉱物組成に応じて、斜方輝石、角閃石、および斜長石の屈折率を測定した。