(1)ボーリング調査方法

a.調査目的

ボーリング調査は、地下の堆積物を採取して地質構成を調べ地下の構造を推定し、あるいは年代を知るための分析試料を得る目的で実施した。このため、ボーリングは試料(コア)を連続して採取する「オールコアリング」で行った。

ボーリング調査は浅い場所では2m程度、最も深い場所では137m掘削した。

各地区の調査目的を整理すると次のようである。

@ 八郎潟北岸地区:完新世の断層活動履歴を把握し,最新活動時期、単位変位量および再来間隔を評価するため、沖積層表層の堆積構造及び年代の確認を目的とする。

A 浅内沼地区:平成12年度反射法探査測線に沿って、更新世後期以降の断層変位量を把握し平均変位速度を評価するため、段丘堆積物及び沖積層、上部更新統の層序確認・対比を主たる目的とする。

B 米代川南岸地区:更新世末期〜完新世の断層活動履歴を把握し、単位変位量及び再来間隔を評価するため、沖積層の堆積構造と挟在される火山灰の対比を目的とする。

b.調査数量

ボーリング調査は,所定の位置及び深度のものに加え、コアの採取状態や地層の変化により自主的に余分に掘ったものがある。(解析にはそれらも参考に用い,データも本編に収録した)それらをまとめて表2−2−1に、実施位置を図2−2−1に示す。

表2−2−1 ボーリング数量一覧表(1/2)

図2−2−1 ボーリング調査位置図

c.調査方法

調査目的より掘削深度が地区によってまちまちであるため、数m程度の浅いボーリングでは「パーカッション(打撃による圧入)式」の機械を、それ以上の場合には「ロータリー(回転)式」の機械を使用した。「パーカッション式」は自走式で移動に便利なもの、「ロータリー式」は仮設足場を組み、孔が崩れないように時間をかけて保護しながら、しかも深く掘るための機械力が必要な作業に適した方法である。

@)ロータリー式ボーリング方法

@ 機材の搬入・設置方法

機材の搬入は、トラッククレーンおよび特装(り帯式)運搬車で行った。

A 足場仮設

ボーリングの仮設足場は、単管パイプや足場板などで組んだ。下には一般的なボーリング足場仮設図を示した。

図2−2−2 ボーリング足場仮設図

B掘削:錐具の使用

堆積物の乱れを防止し、精度の良い分析試料を得るためにダブルコアチューブを用いてコア採取したが、含水比が高く緩んだ砂や礫の場合には、シングルコアチューブを用いてコアを回収した。先端には、未固結層にはメタルクラウンを使用し、固結した泥岩ではダイヤモンドビットを使用した。

C掘削:孔壁の保持方法

孔壁は泥水を用いて保持し、地下水の流動層など孔壁保持が困難な場合はケーシングパイプをセットした。

A)パーカッション式ボーリング方法

@機械の移動・設置

パーカッション式ボーリングマシンは自走式のものを用いた。このため、ロータリー式のような解体運搬や足場仮設の手間は少ないが、自重があるため水田では板等を敷いてめり込まないように注意した。また、作業地点は水田の機械乗り入れが容易な場所を選定した。

A掘削

掘削は、二重管式のサンプラー(コアチューブ)の先端に鋭利な刃先(シュー)を取り付け、油圧で打撃を加えて行った。サンプラーの内管はアクリル製でコアを収納したまま回収し、1回ごとに新品に交換した。サンプラーの長さから、1回の掘削で採取できる深度は1.0mである。コアが満杯になれば回収し、その下を掘り増す作業を所定の深度まで繰り返す。

B深度管理(圧縮に対する補正)掘削方法から、押し込み時に管内の摩擦でコアが圧縮される場合がある。

このため、コア採取の度に掘削長とコア長とを比較して補正を行った。

図2−2−3パーカッション式ボーリング作業

B)ボーリングコアの管理

@コアの保管

ボーリングコアは,1mごとにカッターで切断し、5m用の木製コア箱に収納した。コア箱にはボーリング地点名と深度をそれぞれ記載した。コアはピアノ線等を用いて半分に裁断し、塩ビ管の皿に載せて崩れを防ぎ観察保存用と分析用に分け、重ねて収納した。

Aコア観察

ボーリングコアは,半裁した状態で写真撮影と観察を行った。

観察結果は柱状図に整理した。また、コア写真はプリントを巻末に示したほか、フォトCDに記録した。

Bボーリング地盤標高の管理

ボーリング地盤標高は、調査地付近の基準点から水準測量を行って求めた。

C)ボーリング跡地の復元

ボーリング作業後は、孔内に砂を充填した。耕作地の場合は,表層30pを耕作土で埋め戻した。

d.使用機械

表2−2−2 ロータリー式ボーリング機材一覧表

表2−2−3 パーカッション式ボーリング機材一覧表