○断層の分布 約24q
(横手市安田付近〜雄勝郡稲川町稲庭付近)
○平均変位速度 不明
第四紀後期に活動していても金沢断層(上下方向0.2m/千年)より活動性はかなり低い。
○活動の形態
走向:南北方向
東側隆起
○最新活動時期
約1万年前以前,ただし,第四紀後期には活動していない可能性が高い。
○単位変位量・再来間隔 不明
なお,大森山断層の内,中新統中の地質断層が存在する成瀬川以南のみを活動層とした場合には,断層のパラメーターは次のとおりとなる。
○断層の分布:約11q
○活動の形態
走向:南北方向
東側隆起
○最新活動時期・再来間隔・平均変位速度・単位変位量 不明
〔追記事項〕
大森山断層付近のその他の変位地形
横手市の南西,平鹿町との境界には,相野々層が分布する曙丘陵が広がっている。この丘陵を先行谷とみられる3本の河川が横切っており,この丘陵が新しい地質時代に上昇してきた可能性を示している。
丘陵の西縁は,北北西−南南東方向に直線的で,大森山断層と2q〜3q離なれておりほぼ平行である。空中写真の観察では,大雄村上猪岡から平賀町樋ノ口にかけて丘陵の西縁山麓に沿って低崖が連続しており,一部の山腹斜面には不明瞭ながら段丘の発達もみられる。
また,この位置で先行谷とみられる河川の勾配がいずれも急になっており,平鹿町樋口では,先行谷の谷底の低崖から扇状地が形成されている。これらの地形は,河川の浸食の結果とみることもできるが,断層変位地形の可能性もある。
樋口以南では,扇状地に覆われて変位地形らしきものはみられなくなるが,延長上の平鹿町三島では,扇状地の中に扇状地の傾斜の方向と斜交する低崖がみられる。
その南南東方向の増田町下町から真人にかけて,山麓斜面の基部に低崖が断続的にみられる。これは成瀬川よる浸食の結果とみることもできるが,このうち亀田以南では山地側に低位段丘(T4面)が小規模ながら分布しており,断層変位の結果である可能性もある。
これが,今まで知られていない活断層の存在を示すとした場合でも,曙丘陵中に,例えば金沢断層の杉沢川沿いにみられるような段丘面の発達がないことから,金沢断層に比較してその活動性はかなり低いものと考えられる。
この断層変位地形については,活断層研究会(1991)の大森山断層と位置,方向などが異なるのでこれ以上の調査,検討は行っていない。
一方,活断層研究会(1991)は,大森山断層南部の西側約8qの湯沢市付近に南北に延びる延長10qの東鳥海断層を引いている。この断層は今回の調査の対象とならなかったが,大森山断層が第四紀後期に活動していないとすると,曙丘陵西縁の断層とこの東鳥海断層とが大森山断層にかわって活動している可能性がある。