成層圏で生じた14Cなどの放射性炭素は大気・水の循環と食物連鎖を通して生物体内を循環するが,生物が死んだ時に新たな放射性炭素の供給が絶たれることとなり,14Cはその後生物遺骸中で一定量づつ壊変していく。従って残存している14Cの量を測定することにより,「年代」,つまり地層の生成年代が測定できる事となる。この際,年代を測定した炭素が初生であると共に地山地下水等の影響を受けておらないことが測定の前提条件となる。
測定方法としては,β線計数法(ガス比例計数管法,液体シンチレーション法など)と加速器質量分析法(AMS法)とに大別することができる。
β線計数法は,約3万年前までの年代について測定可能であり,液化処理後にシンチレーション計数機によりβ線比例計数管で測定し,測定時間内に新たに壊変した放射性炭素の量から放射性炭素の残存量を推定して年代を算出する方法である。
加速器質量分析法は,約6万年前まで測定が可能であると共に極めて微量な試料であっても測定が可能な方法である。概略の原理は,加速器質量分析機を用いて試料中の14Cの現在の量をそのまま測定し,壊変量と現在量の総和である大気中の放射性炭素の初期量が常に一定であったという前提に基づいて年代を算出するものである。
本調査では,炭素分が十分得られた場合にはβ線計数法を用い,試料が微量な場合には加速器質量分析法を適用させて測定した。
測定機関は Beta Analytic Incである。