(2)微小地震活動や地殻変動の評価のための基礎データの提供
余震分布から地震断層の形状が推定可能な事が知られているように,微少地震活動や地殻変動と活断層とがどのような関係にあるのかを理解することは,被害地震発生の可能性を検討するためには極めて重要な問題である。今回実施したような大規模な調査からは,活断層の形状のみならず,地殻内の速度構造についての情報も得られるため,地震の震源の決定精度を飛躍的に高めることができる。こうして高精度で再決定された地殻内地震のデータをもとに,地殻内の活断層との関連を検討することは,被害地震発生のメカニズムを解明していく上で,特に重要である。また,現在,国土地理院によって微小な地殻変動が観測されているが,活断層の深部形態が地殻変動のパターンを支配する事が知られており,その深部形態を把握できれば,地表における変動パターンから地震発生ポテンシャルの評価も可能になると考えられている(図2−3−2参照)。