(1)地表における地振動の予測
地震被害を軽減させるためには,地表における地震動を正確に求め,その地震動にもとづく被害想定を基礎に,防災計画が立案されなければならない(図2−3−1参照)。地表における地盤の振動を明らかにしていくためには,地盤の振動特性を求めることが一義的に重要である。従来の評価は,おもに都市地盤表層の振動特性に焦点がおかれて実施されてきたが,とくに兵庫県南部地震以後,地震基盤(沖積層などの軟弱な地層ではない硬い岩盤)の形状による効果も重要な点として評価する必要があることが指摘されている。これは都市地盤(軟弱地盤)の中に入った地震波が波の干渉や増幅によって,地表では無視できない振動の差異を引き起こすためである。こうした,都市地盤の地震動の正確な評価は今後,重点的に実施される必要があるが,こうした評価の基礎になる地殻の構造や振動特性についての資料は,充分な精度では集められていない。本調査はこうした調査についての基礎資料を提供することになると同時に,地震基盤の形状・深度・その振動特性についての基本的な情報が判明し,これらの情報は将来の地震動予測に貢献する事になろう。