反射記録はノイズの少ない測線東端の脊梁山地中央部で良好で,バイブロサイスでも下部地殻からの反射イベントが認められる。断面では西縁の千屋断層と東縁の川舟断層などの逆断層によって境された隆起帯をなす真昼山地の下の上部地殻の構造が捉えられた。千屋断層の延長と判断される反射層は測線東端部の往復走時2.5秒付近(深さ約7q)から立ち上がり,約40゚東に傾斜した形状を示す。
断層は浅部に向かって傾斜を増大させ(約45゚),地表付近1qで傾斜を減少させたのち,地表の千屋断層(500m以浅では約30゚東傾斜)に連続している。真昼山地の隆起運動にも関わらず,往復走時で2秒程度までのP波の速度構造は,とくに浅層部で東側に単調に増加し,岩手側までその傾向は続いている。隆起帯である真昼山地下で,低下側となる川舟断層の東側よりも遅い速度を示すことは,日本海形成時の正断層運動を反映していると考えられる。
今後,大学の研究グループにより島弧横断測線から得られる速度構造をもとに反射断面の再検討が行なわれる他,同時に実施されている稠密な地震観測の結果も考慮して上部地殻における断層の詳細な形状について更に検討が進められるであろう。