(1)金沢断層の活動性調査

来年度の調査では,

・上下変位量が明瞭な箇所における年代測定

・三貫堰地区及び蛭藻沼地区でのトレンチ調査

・横手市市街地における金沢断層南端部の確認(有・無)

等を実施することを計画する。

上下変位量が明瞭に認められる杉沢扇状地中央縦断域において,金沢断層を挟んだ各段丘面のピット調査を実施し,各段丘面の形成年代を求めると共に各段丘面の上下変位量を確定する。

活動性を把握するために,トレンチ調査を三貫堰地区及び蛭藻沼地区で実施する。このトレンチ調査の実施前に,トレンチ位置を選定(絞り込み)するため,ボーリング調査を実施することとし,ボーリング調査は各地区とも4孔を計画する。

各地区でのトレンチ調査の主目的を以下のよう設定する。

[三貫堰地区]

最低段丘7面でで変位地形が認められないことから,この最低位段丘7が地層中でも変位していないことを確認し,最新活動時期の最新年代を把握するため実施する。仮に,変位が認められれば,陸羽地震の時に活動した可能性が高くなる。

[蛭藻沼地区]

最低位段丘6の下位に約11,000年前及び約19,000年前の地層が断層の下盤側に分布しており,これらの地層の変位から単位変位量・再来間隔を捉えるために実施する。

また,蛭藻沼地区での平板測量は,低位段丘5(T5)及び最低位段丘6(T6)のたわみ(撓曲)の程度を把握し,実際の変形量を捉えるために実施する。

[横手市市街地]

横手市街地の最低位段丘6(T6)には比高約1mの変位地形と考えられる微高地が認められ,金沢断層の南端を決めるに当たって重要な地域と考えられる。

このため,金沢断層の存在(有・無)を確認するために,浅層反射法弾性波探査(探査深度500m程度)を実施する。測線は,横手駅前から道路沿いに東方に設定し,延長は横手川に至る約1.8qとする(受震間隔は5m)。 さらに,断層の存在が確認された場合には,断層の両側の最低位段丘6(T6)の相層及び形成年代を把握するために,断層を挟んで1孔ずつの計2孔のボーリング調査を実施する。

なお,既存ボーリング資料リストを表1−4−2−2に示し,各ボーリングの位置及び簡易柱状図を図1−4−2−5図1−4−2−9に示す。

表1−4−2−2 横手市街地周辺の既往ボ−リング資料一覧

図1−4−2−5 既往ボ−リング位置図

図1−4−2−6図1−4−2−7図1−4−2−8図1−4−2−9     既往ボ−リング簡易柱状図           

これらの資料によると,深度2〜4mまでは粘土質な地層が分布していることから,粘土層に含まれる炭化物の年代を測定することにより,最低位段丘6(T6)の形成年代を把握することは十分に可能と判断される。