(2)地形解析による変位量と平均変位速度

この断層の変位地形は、主に丘陵背面の撓曲、最高位段丘面の撓曲、中位段丘面の撓曲などである。したがって、断層の走向に直交する方向の地形断面を作成することにより、そこから得られた垂直変位量及び変位基準面の年代から断層の平均変位速度を算定できる。

前に述べた地形断面から得られた変位量及び平均変位速度をまとめて表4−1に示す

地形解析の結果、中位段丘面の上下方向の変位量は3m〜7mであり、最高位段丘面の上下方向の変位量は14m〜26mが見積もられ、平均変位速度は0.1m/千年となることから、活動度はB級最下位である。

図4−6は、断層位置における地形解析による平均変位速度の分布である。この図からも、この断層はほぼ全域にわたって、0.1m/千年前後の平均変位速度を示している。

表4−1 地形面の変位量及び平均変位速度一覧表

図4−6 猿投−境川断層の平均変位速度の分布

(*1建設省中部地方建設局資料(図3−17)より3.7,300±700y.B.P.の地層が約4m変位)

(*2本調査のU−U’断面(図3−45)より27,990±390y.B.P.の地層が約2.5m変位)